形成外科(一般形成外科及びリンパ浮腫)

形成外科では、頭の先から爪先まで身体の表面に関するあらゆる疾患を取り扱っています。日帰りで可能な外来手術(局所麻酔)から入院での手術治療も行っています。特にリンパ浮腫については、広島大学病院と連携しており、大学病院の専門医師の診察が可能です。傷跡や体の表面の見た目のことでお困りの方は御相談下さい。

名前写真常勤・非常勤専門
光嶋 勲非常勤形成外科・リンパ浮腫
岸 剛 非常勤形成外科・リンパ浮腫
永松 将吾 非常勤形成外科・創傷外科

取り扱っている主な疾患<一般形成外科>

皮膚のできもの、顔や手足の怪我、顔面骨骨折、先天性疾患(口唇口蓋裂、小耳症、多趾症など)、やけど、きずあとやケロイド、難治性潰瘍、巻き爪、わきが などの一般形成外科治療に加え、乳癌術後の再建手術やリンパ浮腫の治療を専門に行っています。 特に、リンパ浮腫は『光嶋勲リンパ浮腫センター』を設置し、専門の医師による診療を強化しています。

<光嶋勲リンパ浮腫センター>

近年、がん治療の進歩に伴い、がんサバイバーが増加しています。それに伴い、がん治療の晩期合併症の一つであるリンパ浮腫の患者数も増加傾向にあります。リンパ浮腫は、身体の一部がむくむ症状を引き起こし、日常生活に支障をきたすこともあります。しかし、リンパ浮腫に対する認知度はまだ低く、専門的な治療を受けられる医療機関も限られています。 そこで、リンパ浮腫治療の世界的な権威である光嶋勲医師をセンター長とする『光嶋勲リンパ浮腫センター』を設立し、リンパ浮腫に苦しむ患者さまに、質の高い専門的な医療を提供し、QOLの向上に貢献することを目指します。
リンパ浮腫の原因には様々あるため、当センターでは患者さまによってリンパ浮腫の状態を正確に判断し治療法を使い分けております。
各種治療法を併用し、状況に応じて複数回手術を行うことにより高い効果を得ております。

リンパ浮腫とは

右側:通常 左側:リンパ浮腫

リンパ管が障害され、機能が低下するとリンパ浮腫となることがあります。リンパ浮腫は手足や顔などにリンパ液のうっ滞によるむくみが生じる病気です。がんなどでリンパ節が取り除かれ、放射線治療を受けた方に起こることがほとんどですが、原因不明に発症することもあります。生まれつきの原因で起こることもあり、年齢は小児から高齢者まで幅広く起こります。無治療のままだとむくみが進行して見た目が変わるだけでなく、歩行障害などの機能障害や感染症や悪性腫瘍の発生のリスクも高くなります。

1)リンパ管障害がわかっているもの →続発性・二次性リンパ浮腫手術、放射線障害、感染など
2)リンパ管障害がはっきりしていないもの →原発性リンパ浮腫先天性、加齢などによる機能低下

診断

リンパ浮腫は患者さまからのお話や紹介状の内容、視診、触診などからほぼ診断可能ですが、進行状態の判断に次の検査を行ないます。

 

ICGリンパ管造影

インドシアニングリーン(ICG)という色素を皮膚の下に注射して、特殊なカメラで見ることでリンパ管の通り道とその状態を観察することができます。通常、手術前に注射を行い、手術の際の皮膚を切る場所の参考にしますが、手術前後に外来で検査を行うこともあります。片方しかむくみがない場合でも、健康なリンパの流れを参考にするために両方に注射します。

治療

弾性ストッキングなどによる圧迫療法(保存療法)と手術療法とに分けられます。

保存療法

弾性ストッキングによる圧迫やスキンケアによる進行予防は治療の基本です。感染症(蜂窩識炎)の発症により急激にリンパ浮腫が進行するため、感染症の予防・早期治療が重要です。リンパマッサージなどの保存療法(手術しない治療法)を組み合わせて行う複合理学療法が効果的とされています。専門的な圧迫療法をご希望される場合には、広島大学病院への紹介を行なっております。

手術療法

当科では、3つの手術療法を患者さまのリンパ浮腫の状態を正確に判断して使い分けております。
併用もしくは複数回行なうことで高い効果を得ています。

 

リンパ管静脈吻合

リンパ管と細静脈をつなぐ手術、リンパ管細静脈吻合(LVA)を第一選択として行っており、優れた治療効果を出しています。局所麻酔をして皮膚を2cmほど切って手術を行います。LVAの吻合数が多いほど効果が高い傾向があることから、当科では複数の術者が同時にさまざまな場所で手術を行い(足首と太ももなどを同時に)、できる限り多くの吻合を行います。局所麻酔のため手術中にも意識がはっきりしており、基本的には手術の映像をみてもらい、術者が手術の状況を説明しながら手術を行います。入院は約1-2週間です。

リンパ管移植

リンパ浮腫が進行してしまうとリンパ管静脈吻合のみでは十分な効果が得られない、あるいは吻合できるリンパ管がなくなってしまうことがあります。このような場合、正常なリンパ管を皮下脂肪組織とともに採取ししてリンパ浮腫の場所に複数移植して治療を行ないます。通常全身麻酔で行います。

脂肪組織除去

リンパ浮腫ではリンパ液だけが太さの原因であることは非常に稀で、ほとんどは脂肪組織が過剰に増殖することも同時に起こっています。当科では部位や状態患者さんの希望に応じて様々な方法で減量を行なっております。

<顔面神経麻痺>

顔面神経麻痺は、顔の筋肉を動かす神経が損傷することで、顔の片側が動かなくなる疾患です。目が閉じにくい、口角が下がる、笑顔が不自然になるといった症状が現れます。原因はさまざまで、ウイルス感染(ベル麻痺、ラムゼイ・ハント症候群)、外傷、手術後の後遺症などが挙げられます。特に、長期間麻痺が残る場合は、自然回復が難しく、専門的な治療が必要になります。

<当院の治療の特徴>

当院では、岡山大学形成外科教授、東京大学形成外科教授、広島大学病院国際リンパ浮腫センター教授を歴任した光嶋勲医師が診療を担当し、専門的な治療を提供します。光嶋医師は、長年にわたり顔面神経麻痺の治療に携わり、神経・筋移植手術において豊富な実績を持つ専門家です。

主な治療方法

顔面神経麻痺の治療には、神経移植、筋移植、リハビリを組み合わせたアプローチを行います。

 

1. 神経移植

健康な神経(反対側の顔面神経、舌下神経、下顎神経など)を利用して、麻痺した側の神経につなぎ直します。手術後、約6か月~1年ほどで筋肉が動き始めることが期待されます。

2. 筋移植

麻痺が長期間続き、筋肉が萎縮してしまった場合は、他の部位(太ももの薄筋など)から筋肉を移植します。移植した筋肉を神経につなぐことで、新たな表情の動きを獲得します。

3. リハビリテーション

手術後は、適切なリハビリを行うことで、より自然な表情の回復を目指します。鏡を見ながらの表情筋トレーニングやマッサージを通じて、顔の動きを改善します。

手術による改善例(治療前後の比較)

治療前(手術前): 目が閉じにくく、口角が下がり、笑顔が不自然になります。
治療後(手術後): 口角が上がり、バランスの取れた笑顔ができるようになります。

顔面神経麻痺でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。専門医が最適な治療をご提案し、笑顔を取り戻すお手伝いをいたします。

 

<乳房再建>

乳房再建とは乳癌の手術で失われる乳房の形態を新たに作り直す手術です。現在保険診療で可能な再建方法には、乳房インプラントによる再建、自家組織(お腹・背中など)による再建があります。 御身体の状態や御希望に併せて再建方法をご提案させて頂きますので、御相談下さい。また乳房に関連して乳頭乳輪の再建、陥没乳頭の手術も行っておりますので併せて御相談下さい。