整形外科

名前写真常勤・非常勤専門
平松 廣夫常勤骨折・整形外科一般・リハビリテーション
髙澤 篤之常勤整形外科一般
室積 正人常勤整形外科一般
真鍋 英喜常勤整形外科一般・脊髄・脊椎外科
下瀬 省二常勤整形外科一般・骨・軟部腫瘍
柏木 健児常勤整形外科一般
亀井 豪器常勤整形外科一般・膝関節
信岡 乃理常勤整形外科一般・形成外科
梶川 和徳 非常勤整形外科一般・リウマチ
大饗 和憲 非常勤整形外科一般・整形外科外傷
中佐 智幸 非常勤整形外科一般・足・膝関節
兒玉 祥 非常勤整形外科一般・手・肘関節
猫本 明紀 非常勤整形外科一般

当院では整形外科分野の総合的な診療を目指しています。

整形外科は運動器の疾患を扱う診療科です。身体の芯になる骨・関節などの骨格、筋肉や腱、運動・感覚神経からなる「運動器」を治療する診療科です。背骨と脊髄を扱う「脊椎・脊髄外科」、上肢を扱う「手の外科」や「肩関節外科」、下肢の「股関節外科」、「膝関節外科」、「足の外科」、スポーツや交通事故、労働災害によるけがや障害、リウマチ、腫瘍(できもの)、骨粗鬆症など幅広く、総合的に診療いたします。また、当院では『脊椎脊髄センター』『骨軟部腫瘍センター』『膝関節センター』を設置し、専門の医師による診療を強化しています。加えて、人工股関節全置換術及び人工膝関節全置換術において、当院では「Makoシステム」を導入し、ロボティックアームを用いた手術を保険適用で受けていただくことができます。


 


患者さまへ
当科は通常の外来だけでなく救急外来も対応しております。(月の救急車受け入れ台数:約60件)。救急搬送された患者さまの状態によっては、通常外来の患者さまに診療をお待ちいただくことがあります。

専門的診療

脊椎脊髄センター(真鍋医師)

転倒などによる脊椎圧迫骨折(背骨の骨折)や手足のしびれ、痛みを生じる椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などの治療を行っています。患者様の病態に応じて、保存加療(薬物治療やリハビリテーション)、手術を行います。脊椎の手術では、顕微鏡を用いて手術視野を10倍以上に拡大し、両目で立体的に見ながら非常に細かい手術を安全に実施しています。その他にも経皮的椎体形成術(Balloon Kyphoplasty; BKP)やヘルニコアを用いた治療も提案しています。

BKPは骨粗鬆症などによって生じた背骨の圧迫骨折による腰背部痛を改善させる手術です。
全身麻酔で、背中に約5mmの切開を潰れた背骨の両側に入れて、そこから潰れた椎体の中に丈夫な風船を入れ、骨の中で風船を膨らませ、潰れを直し、骨の中に空洞(穴)をつくります。その後、その穴の中に骨セメントを充填して、骨の内側から背骨を固めるものです。手術は20~30分で終了し、ほとんど出血もありません。

骨軟部腫瘍センター(下瀬医師)

がんは内臓などの上皮組織に発生した悪性腫瘍ですが、骨・軟部腫瘍は、骨や軟部組織(脂肪・血管・神経・筋肉など)に発生した腫瘍です。良性と悪性があり、骨腫瘍には良性の軟骨腫・内軟骨腫・骨巨細胞腫など、悪性の骨肉腫・軟骨肉腫などがあり、骨腫瘍類似疾患として線維性骨異形成・骨嚢腫・非骨化性線維腫などがあります。軟部腫瘍には良性の脂肪腫・血管腫・神経鞘腫など、悪性の脂肪肉腫・未分化多形肉腫・粘液線維肉腫などがあります。 骨腫瘍は運動時の深部の痛み、軟部腫瘍は体のしこりや腫れで気づくことがあります。画像検査で偶然見つかることも多々あります。良性の場合、必ずしも切除する必要はありませんが、悪性の場合、早期に診断し治療を開始する必要があります。骨・軟部腫瘍センターは、MRI・CTなどの画像検査や生検や摘出術などの手術が比較的早期に実施できる体制があります。運動時の骨の痛みや体のしこりに気づいた方は受診してください。

膝関節センター(亀井医師)

膝関節は体を支える重要な関節であり、スポーツによる膝関節外傷から、年齢的な変化による変形性膝関節症まで様々な疾患・病態があります。スポーツ外傷では前十字靭帯損傷・半月板損傷が多く、一旦生じてしまうと自然回復は困難であり、スポーツに復帰するしないに関わらず、将来的な膝の変形を生じないためにも手術治療が必要となります。膝関節を構成する軟骨・半月板は血流が乏しく、一旦傷つくと自然には修復されない組織であり、放置しておくと変形性膝関節症に進行していきます。一旦痛みで悩まされるとなかなか改善しないため、早期の治療が望まれます。当院では、膝スポーツ外傷の治療から変形性膝関節症の治療まで幅広く対応いたします。 近年では再生医療に注目が集まっており、半月板・軟骨損傷などに対し、自己の血液を加工し組織再生に役立つ成分のみを回収して注射を行うPRP(Platelet Rich Plasma:多血小板血漿)療法、また自分の軟骨を採取し、軟骨損傷部位に移植する培養軟骨移植術などの再生医療も可能です。

その他の疾患と治療方法

骨盤~足

骨盤~足の骨折、股関節や膝関節、足関節の変形性関節症、アキレス腱断裂などの治療を行っています。骨折の場合はできる限り早く回復していただくため、骨折部分をしっかりと整復(正しい位置に戻す)し固定する治療を行い、術後翌日からリハビリテーションを行います。 変形性関節症の場合は保存加療、人工の関節に置き換える手術など患者さまの病態に応じて治療を提案しています。

肩~手

肩~手の骨折や脱臼をはじめ肩関節周囲炎(いわゆる四十肩、五十肩)、肩や手の腱が切れて動かしにくくなる腱断裂、指が動かしにくくなるばね指などの治療を行っています。患者さまの病態やご都合も考慮して入院や外来での治療を行います。

骨粗鬆症

骨粗鬆症とは、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。当科では血液検査やX線(レントゲン)検査だけでなく、骨密度測定を行い、内服薬や注射などによる治療を行います。より正確な骨密度を測定するために、DXA法を用いて腰の骨と足の付け根の骨の骨密度を計測します。
当院では、地域の医療機関の先生方から骨密度検査のご予約を承っております。検査のみでなく、診察や推奨薬の紹介といった組み合わせで、先生方のご要望にお応えいたします。各医療機関の皆様におかれましては、ご活用いただきますようお願いいたします。

手術に代わる新しい治療の選択肢 再生医療等

当科では再生医療として多血小板血漿療法(PRP療法)やAPS療法(次世代PRP療法)を実施しています。


PRP療法とは
PRP療法とは、生体が本来持つとされる自然な治癒反応を促進する新しい治療法です。患者さまの自己血から血小板を収集・分離し高濃縮の自己由来血液成分(L-PRP:高白血球多血小板血漿)を作り患部へ投与すると、L-PRP に含まれる血小板が活性化すると各種成長因子が放出され、「自己の治癒力」を高めて患部の疼痛の軽減や傷んだ組織の修復を促します。

PRP療法とは


PRP療法の種類
当院のPRP療法には2種類あります。ひとつは関節治療に用いるAPS療法(次世代PRP療法)、もうひとつは関節以外の部位に用いるPRP(GPS)療法です。


APS療法(次世代PRP療法)とは


関節の痛みや炎症に対する治療法は、軽度であれば消炎鎮痛薬やヒアルロン酸の関節注射、リハビリテーションなどの保存療法が行われます。保存加療で効果のない重度の場合は手術療法となります。従来の保存療法と手術療法の間を埋める第3の治療法がAPS療法(次世代PRP療法)です。APSはPRPから抗炎症成分など関節の健康に関わる成分を取り出したものです。関節内で炎症を引き起こすタンパク質(IL-1やTFN-αなどの炎症性サイトカイン)のバランスを整えることで、炎症を抑え、痛みの軽減が期待できます。

PRP(GPS)療法
PRPは主に筋・靭帯や腱などの組織修復を促すことが期待されます。主な対象疾患は上腕骨外側上顆炎、膝蓋腱炎、アキレス腱炎、足底筋膜炎、靭帯損傷、その他の腱付着部炎などです。スポーツ外傷の早期修復が期待できます。


【長所】

  • 自己組織由来のため、アレルギーが起こりにくい。
  • 日帰りで処置が可能。
  • 治療後から普段の生活が可能。
  • 治療手技が簡単で、治療痕が残りにくい。


【短所】

  • 効果には個人差があり、効果を感じられる方とそうではない方がおられます。効果が現れるまでの期間や効果持続期間にも個人差があります。
  • 軟骨欠損や関節の変形を根本から治す治療ではありません。
  • 実施後に数日間 、炎症(痛み、熱感、赤み、腫れ)を伴う場合があります。
  • 投与箇所、採血部に感染症が起こる可能性があります。
  • 自由診療であり、公的医療保険の適用を受けることができません。


【適応除外基準】

  • 1か月以内に本治療を受けたことがある
  • 転移を伴う癌または白血病と診断され、あるいは治療を受けている
  • 活動性の全身性炎症性疾患を有する
  • 投与部位に皮膚感染症を合併している
  • 重篤な合併症を有する (重篤な心臓・肺・肝・腎疾患、出血傾向、コントロール不良な糖尿病や高血圧症、AIDSなど) ・薬剤過敏症の既往歴を有する
  • その他、担当医が不適当と判断した場合

この治療法は、再生療法(再生医療等の安全性確保等に関する法律)に基づき厚生労働省より認可を受けた医療機関のみで受けることが出来ます。詳細は当院の担当医師やスタッフにお気軽にご相談ください。

当院ではPRP療法以外にPRP-FD療法も行っています。


PRP-FD療法
PRP-FD(自己血小板由来成分濃縮物)とは、PRPを活性化し、さらに無細胞化・濃縮した上でフリーズドライ化(粉末化)したものです。血小板は血液中に数多く存在する細胞のひとつで、血管が損傷したとき損傷した場所に集まって止血をする働きがあり、その止血過程において多量の成長因子を放出します。この成長因子には組織損傷に伴う炎症を鎮静化させ、組織修復のプロセスを開始する働きがあり、血小板の放出する様々な成長因子を使って痛みを緩和し、より早い組織修復を促す方法がPRP-FD療法です。静脈から血液を採取し特定細胞加工物製造許可施設へ搬送しPRP-FDを作成し、患部に注射します。PRP療法との違いは、成長因子の総量が多いこと、PRP-FDの作成に時間がかかること(PRP療法が採血当日に注射するのに対し、PRP-FDは採血から約3週間かかります)、保存期間が約半年間あり複数回にわけて注射を打つことが可能という点です。

PRP療法とは

手術に代わる新しい治療の選択肢 SHOCKWAVE 体外衝撃波治療

1.体外衝撃波とは?


  • 腎臓結石を破砕する治療に利用されており信頼度の高い治療機器。
  • 現在は整形外科での疼痛治療、特に難治性足底腱膜炎やテニス肘に効果的。
  • 欧米のスポーツ選手に人気の安全かつ効果的な治療法。

2.治療の特徴


  • 短時間かつ身体への負担が少ない。
  • 直後からの疼痛軽減効果が期待される。
  • 副作用が比較的少ない。

3.注意事項


  • 保険の適用に制限がある場合があります。
  • 治療効果や回復には個人差がある。
  • 必要に応じて他の治療と併用。
  • 自費診療で治療を行った場合は、治療の同日に保険診療を受けることはできません。

4.体外衝撃波治療の効果


  1. 短期的疼痛軽減: 痛みの伝達をブロック。
  2. 長期的疼痛軽減と組織の修復: 血流改善と腱の再生。

注意点:


  • この治療法は100%の疼痛軽減や完全治癒を約束するものではありません。
  • 患者さんによって治療の効果や期間は異なりますが、一般的に治療の効果は60~80%とされています。

5.当院の治療の流れ


  1.  
  1. 初診・検査

詳しい診察後、次回の照射予約を設定。

2. 治療前のセッティング
照射部位の特定と体位の調整。
3. 治療開始
患者の反応を見ながら強度を調整。
1回の治療は約15分。
4. 治療回数
1~2週間間隔で複数回照射。
最適な効果を得るためには、
通常2回以上の照射が推奨されます。
 
5. 効果の確認・次回予約
効果の確認後、次回照射の予約。
  1.  
  2.  
  3.  

6.治療料金の概要


    • 保険適用: 3割負担: 一連の治療費15,000円/約3か月
    • 自費診療: 初回5,000円、2回目以降10,000円/回
    • 注意: 上記は税込み価格。初・再診料や他の診療に関連する追加の費用が別途発生する場合があります。

7.使用機器 


当院は先進の「DUOLITH®SD1」を使用。

 

8.適応疾患


保険適用:難治性足底腱膜炎

医療機関での診断後、6か月以上保存加療を行い症状が続く方が対象です。


保険適用外:

  1. アキレス腱炎・アキレス腱付着部炎
  2. 膝蓋腱炎
  3. 偽関節、疲労骨折
  4. シンスプリント、その他の腱炎・靭帯炎
  5. 上腕骨外側上顆炎(テニス肘・ゴルフ肘)
  6. 肩こり、慢性腰痛症
  7. 石灰沈着性腱板炎、肩腱板炎
  8. 骨折遷延治癒、早期の離断性骨軟骨炎、早期の骨壊死、舟状骨骨折

9.禁忌事項


  • 悪性腫瘍
  • 胎児
  • 肺、脳脊髄組織
  • 骨端線

10.安全性と副作用


  • 手術や針不要の治療で感染リスクはありません。
  • 治療後の行動制限が少ない。
  • 治療中の痛みの調整が可能。
  • 運動制限: 照射後はスポーツも可能ですが、治療部位によっては一定期間、運動を控えることが推奨されます(例: 肩の治療後は4~6週間、オーバーヘッドの動きを避けるなど)。
  • 治療時の軽い痛みや不快感、腫れ等の副作用があります。

11.その他


  • 医師との相談: 患部の状態や運動の種類によっては、医師と相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。また、次回の照射は1週間程度の間隔を空けて、医師と相談してください。
  • 資料をご用意しています。来院時、スタッフにお声がけ下さい。